実際、必要であれば泣き真似も出来る。

けれど、回りの見方が変われば変わるだけ、憧れは所詮憧れでしかないと、改めて思い知らされるのだ。

どんなに痩せて綺麗になっても、ヒロインにはなれない。

あたしの全部を受け入れて、泣いてもいいと思わせてくれる人なんて、それこそ南野さん以外は、誰も。

誰も、いない筈だったのに。

よりによって、あたしの史上最悪の醜態を見たあんたが何でそれを言うのよ!!??

可愛い女の子は、何をしても可愛くて、生まれた時から、死ぬまでずっと可愛いのだ。

それが本物の可愛い女の子。

あたしみたいな、途中からの紛い物は、どんなに頑張ったって、逆立ちしたって、本物の可愛い女の子にはかなわない。

だって、一人で勘違いして突っ走って大騒ぎして、空回って。

挙句躓いて、すっころんで、一人じゃ身動きも取れなくて。

こんなヒロインどの世界を探したっていやしない。

結局あたしは、最後までヒロインの代役でしかないのだ。

ヒロインが不在の時だけを埋める、一瞬のヒロイン。

すぐにホンモノが現れて、あたしなんて取って代わられてしまう。

ここに来て、あたしはひとつの事実を突き付けられた。

あたしが憧れて、望んだ場所を手に入れた本物のヒロイン。