バンドの練習中に 綾奈が突然倒れたのは あれから二週間後だった。 「救急車呼べ!!!」 その一言でやっと目が覚めた。 ―綾奈が倒れた― 助けないと… そう思うのに体が動かない。 目の前で起きていることが 夢のようでそれが現実だなんて 受け入れたくなかったのかもしれない。 だんだん近づいてくるサイレンの音も 聞こえないほどただぼーぜんと 綾奈を見つめていた。