あなたが居なくなった日。


「良いことって何 ー?」

改めて今日半日を振り返ってみるも私には良いことの見当がつかない。

「新田くんと顔見知りになれた」

友は自信満々に言い切る。

が、それのどこが良いことなのか?

「でもそうかぁ。うちのクラスから特進クラスの友達持ちが出るなんてねぇ」

「友達だなんて大袈裟だよ。ただ傘を貸して返してもらっただけじゃん」

「十分でしょ。普段の交流から考えればそれでも立派な友達じゃん?」

楓の脳内ではどんな計算がされたのか。

私にはどうしてもその程度で友達だなんて答えは導き出せない。