「三咲」 いつまでも固まり続ける私に共が小さく囁いてくる。 天変地異な非日常で聞こえてきた共の声はものすごい安心感を伴っていて、私はようやく口を動かすことができた。 「あ、あ、はい」 が、動いただけ。 吃るし。 はいって何が?って感じだし。 「とにかくありがとう。本当に助かった」 これ以上変な言葉を発さないよう、小さく会釈しながら差し出された折りたたみを受け取る。 受け取った折りたたみは買った時みたいに綺麗に畳まれていて、昨日私はどんな畳み方で貸したっけと気になった。