別にもよおした訳では無い。 逃げなくちゃと思ったらここしか思いつかなかっただけ。 「三咲?」 心許せる友の登場に私の体は途端に震えだした。 「どうしようどうしようどうしよう」 「一回落ちつこ?」 友の助言に息を深く吐く。 が、やっぱり心臓はこれでもかと早鐘を打ち続けている。 「取りあえず、あんた帰りはどうするの?」 言われて初めて気づく。 そうだ、雨……。