あなたが居なくなった日。


さすが特進クラスだなぁ。

奏でられる音はどれもスっと耳へ届いてくる。

ピアノの演奏を聴いているだけなのに、目の前には様々な景色が映し出される。

その中でのトップである新田くんと、放課後の時間を共にしていたことにいまになって恐縮した。

「では、本日最後の演奏になります。新田奏眞、前へ」

アナウンスに開場中が静まる。

舞台袖から新田くんが現れる。

背筋を伸ばしゆったりと歩く姿はとても格好いい。

「〜……」

洗練されたお辞儀の後に演奏が始まる。