あなたが居なくなった日。


「勝負……ですか?」

こくん。

新田くんは首が取れてしまいそうな勢いで頷く。

「僕、春からボーカルトレーニングの教室に通うことになったんだ。

あの両親を説得させるのは大変だった。でもね、僕は勝ったんだ。

いや、引き分けかな?

本当はさ、声楽科への編入をお願いしたんだけどそれは流石に拒否されちゃった」

「すごいね……」

それが素直な感想だった。

と言うより、壮大すぎる話にそれしか言えなかった。