「ふへ?」 唐突に自分の名前が上がって声が裏返るどころか奇声を発してしまう。 が、いまのはどう考えても新田くんのせいだ。 「待って?どうして私?え?ごめん。全然わからない?」 「あはは」 新田くんはふわりと笑う。 その笑顔はなんだかとても清々しい。 「僕さ、三咲に歌を聴いてもらって知れたんだ。 誰かに声を届けるって楽しい! みんなこんな気持ちで演奏してたんだって! そうしたらもう我慢ができなかった。僕は勝負に出たんだ」