あなたが居なくなった日。


楓には言ってしまいたかった。

でも言わない。

これは新田くんと私の秘密だから。

「ふふっ。ごめんね」

口角を上げながら謝る私に、友は不思議そうに首を傾げる。

ごめんね。

これは秘密。

でもきっと明日はいい報告ができるから。

だって、いま校内に新田くんは居るんだ。

きっと今日は会える。

明日だってきっと演奏会に来てくれる。

流れてきた歌声を聴いて、私はなぜかそう確信していた。