文句を垂れていた楓もプリントを机に置き、視線をスピーカーへ向けて耳をそばだてている。 『〜〜〜』 聴こえてきた声に、私は安堵のため息を溢した。 やっと聴けた。 そう思った。 スピーカーから流れてきたのは紛れもなく新田くんの歌声だ。 学校に来たんだ。 戻って来たんだ。 でもどうしてまたお昼の放送に? そもそも、一回目もだけど声楽科じゃない新田くんがどうして歌を?