ーーー まあ、そんなのは無理だった。 人の脳って不思議なことに、忘れよう考えないようにしようと意識すればするほど、気持ちとは裏腹にそのことに支配されてしまうみたい。 午前の授業中、私の頭の中では新田くんのある言葉がグルグルと回り続けていた。 「で、朝の『あ…… 』って何?」 「うん。あのね、すっかり忘れてたんだけどね。最後の日。 なんだか新田くんの様子が変だったの」 一度言葉を切ると、友は私の話を妨げないようコクコクと頷いた。