そこに空白があるときにはそのことを認識できないのに、空白が埋まるととたんにその空白の大きさに気づかされるのだ。 そして気づいてしまったいま、それを失ったら空白の大きさにかなりの衝撃を受けるだろう。 新田くんも私もまだ一年だ。 高校生活はまだ三分の二以上残っている。 それでも……。 まだ見えてすらいない未来を想像するとほんの少しだけ胸が痛んだ。 ああ。 私はあの音を失いたくない。