あなたが居なくなった日。


「それはダメ!学校の人に見られたら死んじゃう。

ってか殺されちゃう!」

「なにそれ」

 新田くんは笑う。

 そして笑ったまま吐き出す息を声に乗せた。

 ああ、この人は本当に何も知らない。

 この音を聴き続けるために私がどれだけ必死になっているか。

 クラスメイトに悟られないようにどれだけ努力をしているか。

 歌っている新田くんと一瞬だけ視線が合う。

 なんだかこそばゆいな。

 だって、にっこりとほほ笑むんだもん。

 なんか空気がこそばゆい。