「別に隠してるとかじゃないよ。 でも、そうだね。強いて言うなら、もし私が本当に恋をしてるとするなら、その相手は人の方じゃなくて音色にかな」 「ふーん?」 楓はイマイチ信じてないみたいだけどそれが本音だった。 別に新田くんのことは嫌いじゃない。 一緒にいて楽だし。 たまにムカつくこともあるけど、まあ、慣れたって言えば慣れたし。 でも好きとか恋とかそう言うのとは違う。 だって、私の胸がときめく瞬間は新田くんの音色を聴いている時だけもん。