「あ、なるほど」 新田くんはホッとしたように納得の表情を見せる。 「でもそっかぁ。三咲ちゃんは僕の音色に惚れてるのかぁ」 ……前々から思ってたけど。 新田くんって見た目は整ってるし言葉選びや物腰は柔らかいけど、性格は歪んでると思う。 「そんな事はいいから練習しようよ。ってかしないなら私は帰るよ?」 「ごめんごめん。始めようか」 そう言って新田くんは蓋を上げピアノカバーを外してから、譜面を開かずに音を出し始めた。