なんて声をかけていいのか分からなかった。 そもそも何が新田くんをあの表情にさせるのか分からない。 だけど私はその理由を聞くだけの度胸も勇気もコミュニケーション力も持ち合わせてはいないんだ。 「あ、良かった。本当にいた」 A-13練習室へ入るなり新田くんは惚けたように言った。 その声音にも表情にもさっきまでの無は感じられない。 「私これでも約束は守るタイプだからね」 「なんだか上手くないなぁ。ねえ、三咲ちゃん? キミはどうしてそんなに機嫌が悪いのかな?」