「やなの!私は帰ります!楽譜も渡したんだしもう充分でしょ? だから返して!」 「お、やっと敬語が抜けた」 この人はどこまで自分優先なのだろう。 私の抗議は無視して教室を出ようとしている。 ああ、そうだった。 土曜日もこの強引さに負けて家に上げてしまったんだっけ。 「分かった。降参。行くよ。行きますよ。 約束するからカバンを返して」 「おーけー」