「ねえ、いまの新田くんじゃない?」 「本当だ。でも何で?」 そんな声が聞こえたのと楓が帰ってきたのはほぼ同時だった。 「おはよ。ねえ多田さん、いま新田くんきた?」 「え?知らないよ?」 教室に入ってきたクラスメイトは楓に向かって問いかけた。 楓はそれをうまく流してくれる。 「ありがとう」 そんな友に、私は小さな声で感謝を伝える。 「って言うかさ」 ホッとしかけたのもつかの間。 クラスメイトはなぜか私を見ながら再度話しかけてきた。