お父さんが箸を伸ばす。 私のお皿から海老フライが消えていく。 ああ、私の海老フライ……。 「うん、美味い」 くそう。 これも全部新田くんのせいだ。 自分の分くらい持って帰ってくれたらよかったのに。 食べ物の恨みは恐いとはよく言ったもので、私はお風呂に入っている間もその事ばかりを考えていた。 そうやって考え続けていたせいか、その日の夜は巨大な海老フライに追いかけられる夢まで見ることになった。