そして親がいないから新田くんと一緒に私の家へと向かっている。 「いまのどこに爆笑ポイントが?」 「だって、私の中の新田くんは緊張とは無縁の人だったから」 「そんなことないよ」 「あるよ。 新田くんはとても綺麗な音色を飄々と意図も簡単に創り出す天才だから緊張どころか受賞に対しての感動も感じないような人だと思ってたもん」 「三咲ちゃんの中の僕はロボットか何かなのかな?」 いまのは新田くんの独り言なのだろう。 新田くんは私から視線を外して何処でもない場所を見ながら首を捻っている。