何とかどもり少なく答えるも敬語にはなってしまう。 「やっぱり。三咲ちゃんはどんな曲を選んだ?」 「あ、その……シューマンの楽しき農夫を……」 「ああ、あれかぁ。懐かしいなぁ」 えっとー、これっていつ帰りを切り出せばいいんだろう。 助けを求めようと楓を振り返ろうとした時、私の耳はとんでもない言葉を拾った。 「僕も楽しき農夫にしようかなぁ」 「ダメ!」 静かな放課後の廊下に響く声。