だから変に隠すことなく自分の気持ちを言葉に乗せることができた。

「素敵だね」

楓は最高の親友だ。

こんな私の話を真剣に聞いてくれている。

おまけに『素敵』だなんて……。

「それとね?」

嬉しくて秘密にしておこうとしまっておいた理由を話したくなってしまった。

「ある人にね、ピアノの楽しさを思い出して欲しいって思ったんだ」

「そっか」

楓は勘の鋭い子だ。

多分いまので私がそれ以上は明かさない事を汲み取ってくれたのだろう。