うん。
楓がそんなこと思うはずないか。
「私ね、この曲が大好きなんだ。聞くだけで気分が明るくなるっていうか楽しくなるっていうか。
弾く側も聴く側も一帯になれる曲って結構少ないなって思うの。
演奏中って自分の世界に入るじゃん?
そうやって世界を深めて音に変換するじゃん?
でもこの曲は聴いてくれてる人たちも一緒になって音を作り上げていくイメージなんだ。
だから、何が言いたいのかと言うとね?」
だらだらと長くなってしまった話を、楓は首を縦に振りながら聞いてくれている。
「ピアノってこんなに楽しいんだよ。素敵なんだよ。
って言うのをたくさんの人に知って欲しいなって」


