この恋を金木犀のせいにして


「泣きそうな顔…してたよ」


辛そうな顔だった。

それを見てちょっとだけ心が痛んだのを覚えてる。


律希の顔色を伺うようにノートから視線をあげると、口元をほんの少しだけ緩めた優しい瞳と目があった。



「違う。あの時俺はね、」



笑ったんだよ。

痛くて痛くてどうしようもなくて。

梨花が幸せそうにしてるから、余計に痛くて。

笑ったんだよ。