半信半疑のスーキーの様子に、アディは、顔の良さがいかに人の心を鈍らせるかを痛感した。なにより、素の自分を隠していたために、嫌味の連発に一言も言い返せなかったのがアディにとってはかなりのストレスだったのだ。

 アディが興奮している様子を見て、スーキーはお茶でも用意しようと部屋を出た。しかたなくアディも、勉強しようと机に向かう。

 だが、アディは頭を使うことは苦手であった。キリリシア史を二ページ読んだところですでに本を閉じたくなる。くじけそうになるたびにアディは、冷たいルースの目を思い出してまた猛然とペンをとるのだった。