イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる

これは大変な執事が相手だ、とアディはこっそりとため息をついた。おそらく、他の二人も気持ちは同じだったに違いない。

 沈黙したアディたちを見渡して、ルースは平然と言った。

「これから一刻後に、早速この部屋で講義を始めます。それまでは、各自の部屋でおやすみください」

「……講師は、どちらの博士が?」

 聞いたエレオノーラも、答えはほとんど予想していた。

 メイドたちがいたら歓声をあげそうなほどしっとりとした美しい笑みを浮かべて、ルースは答える。

「私です。それでは、一刻後に」

  ☆

 メイドに案内されてアディが自分の部屋に戻ると、待ってましたとばかりにスーキーが飛びついてきた。

「お嬢様! 王太子殿下はいかがでしたか?」

「えーと……会ったような会わなかったような……」