天蓋の薄いレースの向こうにいる人物の表情や顔色はまったくわからなかったが、うっすらと見える影はやけに細かった。国王が筋骨隆々とした体格の持ち主であったため無意識に王太子も同じようなものだと思っていたのだが、そのあまりの違いようにアディは面食らう。本当に病弱なのだということを、あらためてアディは実感した。
アディの横を、金髪の女性が足音も立てずに進んでいった。彼女は、手にした扇を閉じてベッドの前に立つと、しなやかなドレスを少し持ち上げて膝を折り完璧な淑女の礼をとった。それを見てあわててアディも、その横について礼を取り頭をさげる。遅れて、栗色の髪の女性も二人に倣った。
「こちらが、王太子妃候補の皆様となります」
そう言って、まずルースは金髪の女性を見た。
「エレオノーラ・メイスフィール公爵令嬢様」
その紹介を聞いて、アディは下を向いたままぎょっとする。
メイスフィール公爵家といえば、キリリシア王国でも名門中の名門だ。アディとて伯爵令嬢として身分は低くないが、公爵令嬢とは文字通り格が違う。これは私に出番はないかな、とアディは半分諦めモードに入った。
アディの横を、金髪の女性が足音も立てずに進んでいった。彼女は、手にした扇を閉じてベッドの前に立つと、しなやかなドレスを少し持ち上げて膝を折り完璧な淑女の礼をとった。それを見てあわててアディも、その横について礼を取り頭をさげる。遅れて、栗色の髪の女性も二人に倣った。
「こちらが、王太子妃候補の皆様となります」
そう言って、まずルースは金髪の女性を見た。
「エレオノーラ・メイスフィール公爵令嬢様」
その紹介を聞いて、アディは下を向いたままぎょっとする。
メイスフィール公爵家といえば、キリリシア王国でも名門中の名門だ。アディとて伯爵令嬢として身分は低くないが、公爵令嬢とは文字通り格が違う。これは私に出番はないかな、とアディは半分諦めモードに入った。



