「確かに流行りのものではありませんが、この刺繍はこの国の古い伝統的な文様で描かれたものです。これだけのものが刺せるということは、よほど良い職人の手によるものなのでしょう。わざわざあなたの瞳の色に合わせて、銀の布で作らせたのですね。王太子妃としてキリノアへ向かう娘への、最高の贈り物です」
アディは、唖然としてその言葉を聞いていた。
「では、なぜ……」
あんなふうに不機嫌な顔で、馬鹿にしたようなことを言ったのだろう。
それには答えず、ルースはある部屋の扉を開いた。
「こちらでしばらくお待ちください。濡れたものを着替えてまいります」
そう言ってあとを部屋のメイドに任せると、ルースはさっさと背を向けて行ってしまった。
その背を見ながら、アディは少し混乱していた。
アディは、唖然としてその言葉を聞いていた。
「では、なぜ……」
あんなふうに不機嫌な顔で、馬鹿にしたようなことを言ったのだろう。
それには答えず、ルースはある部屋の扉を開いた。
「こちらでしばらくお待ちください。濡れたものを着替えてまいります」
そう言ってあとを部屋のメイドに任せると、ルースはさっさと背を向けて行ってしまった。
その背を見ながら、アディは少し混乱していた。



