イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる

「お気に召されましたか? アデライード様のご到着に合わせて急いで用意させたものです。そのドレスも素敵ですが、あちらのドレスは全てキリリシア王国最高のデザイナーと高名な、かの」

「私には必要ありません」

 言葉を遮られたルースは、立ち止まってその目を細めた。

「まだ王太子妃に決定したわけでもない私に、そこまでしていただくわけにはまいりません。持参したドレスで十分です」

「……王太子妃候補とはいえ、人の目もございます。この王宮にいる間は、それなりのものを身につけていただきます」

 急に冷たくなったルースの言葉に、アディは、ぎゅっと扇を握る。