イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる

「これにするわ」

 アディが手にしたのは、色とりどりの刺繍が施された銀色のドレスだった。アディのグレーの瞳に合うように、と父が指定して急いで作らせたものだ。アディの持ってきたもののなかで、一番手がかかっている。

「私は、こちらの空色か藍色の方がいいと思いますが……」

 スーキーが言うように、クローゼットの中に用意されていたドレスはどれも、アディの明るい金髪に似あいそうなものばかりだ。

「いいの。手伝ってちょうだい」

 なんとなくアディの気持ちを察したスーキーは、それ以上は何も言わずにアディの支度を手伝い始めた。