イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる

「どうしたの、スーキー」

 驚きの声をあげたスーキーに、アディは振り向く。

「これ……ドレスが増えてますよ、お嬢様」

「はい?」

 王宮に来るために、アディはいくつものドレスを新調していた。家を出る娘のために、父がなけなしのお金を工面して作ってくれたドレスだ。だがクローゼットの中には、それよりも豪華なドレスが何着も、アディのドレスと並んで下がっていた。

「なに、これ」

「何でしょう。王宮で用意してくれたものでしょうか」

 ここがアディの部屋と案内された以上、そうとしか思えない。アディは、父の用意してくれたドレスを否定されたような気がして面白くなかった。