イジワル執事と王太子は伯爵令嬢を惑わせる

口にはしないが、テオなりにポーレットのことをちゃんと心配していたのだ。そういうわかりにくい優しさこそアディが好きになったところなのかもしれないが、本当に面倒くさい人だ、とアディはため息をついた。そして、笑った。

「……それならそうと、言ってくださればよかったのに」

「ああ、言っていなかったか。それよりも」

 テオは、腕に中にあるアディの体を傾けると、細い顎に指をかけて上向かせた。

「お前、わかっているのか?」

「何をです?」

「今夜は俺たちが結婚して初めての夜だぞ」