一見、はにかみながらその手をとったアディの姿に、人々の間からは再び盛大な歓声が上がった。

 長くトレーンをひくドレスに注意しながら、テオフィルスに手を取られてゆっくりとアディは階段を下りていく。その姿に、人々の目が惹きつけられた。

 幾重にも重なった薄いレースは、光を跳ね返すようなまばゆい白。細かく施された金の刺繍に、風に揺れる長いベール。

 式を無事に終えたばかりの興奮で頬をほんのりと染めたアディは、まるで花開いたばかりの百合のように可憐で美しかった。

 二人の結婚は、今まで病弱だと思われていた王太子が、健康上何の問題もなく、しかも極上の美男子だったことを知った国民に大きな衝撃を巻き起こした。もちろん、彼をただの筆頭執事と思ってともに仕事をしていた王宮の人々にとっても、寝耳に水のできごとだ。