テオのもう片方の手が、アディの細い腰の線をなでおろす。しばらくは暴れていたアディだが、吐息すら飲み込むテオの唇を受けて、次第にその体から力が抜けていく。ふるりとアディの体が震えて最後の力が抜けたのを感じたテオは……

 その時、廊下から衛兵の元気な声が聞こえた。

『殿下っ、陛下のご用意が整いましたっ』

 ち、と執事にも王太子にもあるまじき舌打ちをした後、テオは体を起こした。アディの体を片手で起こすと、名残惜しそうにそのこめかみに口づける。

「来い。父上に紹介する」