「お前は、もう俺の妃なんだろう?」

「まだ! まだです! 陛下に、お許しもいただいてないのに……」

「父上は、俺の愛した相手なら誰でもいいそうだ」

 それが、たった一つだけ国王から出された王太子妃としての条件だった。

 いずれ国の流れとして妾妃を持つことは構わない。だが正妃だけは、愛する女性を自分で選べと国王は彼に告げていた。

 その言葉を聞いて、アディが目を丸くする。

「……あの」

「なんだ」

「愛して……くださっているのですか? 私を……」

 ルースがその体をこわばらせた。動揺する彼の様子から、アディはその質問の答えを知った。