スーキーは、アディが王太子妃に決定したことを喜んでいると思って疑いもしない。そんなスーキーの笑顔を見ているのは、今のアディにはつらかった。

 部屋を出て行くスーキーを見送って、アディは深くため息をついた。息苦しさを覚えて、開けられた窓から空を眺める。

 目の前には、抜けるような青い空が広がっていた。憎らしいことに、雲一つない。

「しっとりと雨でも降っていればいいのに」

 ぼんやりと呟いた。