「ルースには、悪いことをしてしまったのですね。彼がエレオノーラやポーレットのもとにいたのなら、きっと彼女たちが喜ぶ笑顔が見られたことでしょう」

「いえ、ドレスなどをご用意させていただいたのは、モントクローゼス様だけですわ」

「私だけ? それは、私の持ち物が一番みすぼらしかったとか……」

 顔色を曇らせたアディに、あわててマルセラは否定をした。

「まさか! 違いますよ、そうではなくて……いえ」

 大げさに自分の口元に手をあてて、マルセラは言った。

「少し、しゃべりすぎたようです。私が言ったことは、ルースには内緒にしてくださいましね、モントクローゼス様」

 その様子を見て、アディは微笑む。

「はい。あの、アデライードで結構です」

 マルセラも笑顔で、はい、と言った。