「すみません。今日は少し、頭痛がして……」

 こちらもわざとらしくため息をつく。

 決してふざけているわけではない。数多くの似たような名前を見ていると、頭痛と共に強烈な眠気を誘われて覚えることができないだけだ。

「具合が悪いのですか」

「ええ。そうみたいですわ」

「失礼」

 言うが早いか、ルースはアディの額に自分の額をピタリとつけた。

「!!」

「熱はないようですね。ああ」

 ゆっくり体を起こしたルースは、真っ赤な顔になったアディを見下ろしてにやりと笑った。