「マリア、今日ね」

「イリス…緊張するわ」

マリア・スクロベェリーとイリス・スクロベェリー。たったの三十六人の中、何年かに一組とされる双子の姉妹。この日は二人の十五才の誕生日。十五才になると、能力が覚醒し、女王、ディサメリー・ラエサミリースにその能力を示す。しかし、そこで能力を危険だと言われると、永久追放を言い渡される。

 この世界には、双子以外に家族の繋がりは王族にしかないが、世話役がつく。スクロベェリー家のマリア、イリスを育てた世話役のノカエル・スクロベェリーは二人を笑顔で見送った。この二人がいなくなっても感情移入をしない。この世の世話役はその覚悟でこの日を迎える。

「スクロベェリー家の姉、マリア・スクロベェリーは前へ」

王宮に着き、女王の前へ行くとすぐに呼び出される。女王直々のお呼び出しだ。

「お前、自分の能力に自覚は?」

「いいえ」

 意外と淡々と話す自分にマリアは少し驚いていた。能力は覚醒しているかもわからないほどに影響がなく、自覚なんてなかった。

「そうか、リサ」

リサと呼ばれたのは、リナサミ・ラエサミリース。王家の二番目の娘だった。王家は三人の娘と、二人の魔術師によって成り立っている。

「マリア・スクロベェリー。表をあげなさい。今から私、リナサミが能力、『全ての能力をみる能力』で能力を図らせてもらいます。結果によっては、覚悟はできていますね」

王家の人間はみんなそうだ。言うことだけ無表情で言うと、作業に取りかかってしまう。

リサがマリアの顔の目の前に手をかざすと、マリアは自然に目を閉じた。