「ふー、やっと一息つける」

久しぶりのフルタイムの仕事に、少し疲れた私。
ドサっと、医局にあるソファーに腰をかけた。

「はい、コーヒー」

「あ、ありがとうございます。谷岡先生」

「さすがですね。高度救命でやってこられた事はありますね。手際の早さにびっくりですよ。俺も負けてられないな」

「やだ、そんな事ないですよ。皆さんからの刺激受けて私も、まだまだだなって思いますよ」

話をしていると、由香里が走ってきた。

「佳織!大変よ!」

「ん?どうしたの?」

医局に慌てた様子で入ってきた。

「どうした?志水」

一緒にいた谷岡先生もびっくりして、由香里の様子を見ていた。

「広樹さん来たのよ!中元先生と一緒に!」

な、なんで?

「え?ひ、広樹さんが?ここには用なんてないでしょ」

慌てる私の様子を見た谷岡先生は、そんなに大変な事なのか?と首を傾げていた。

「ね、あんた、中元先生が学会でいないからって、入局の日決めたんでしょ」

「う、うん。学会で戻ってくるのって来週だったんじゃないの。それになんで広樹さんが一緒なのよ」

由香里とコソコソと話をしていると、医局長に連れられて、広樹さんと中元先生が医局に入ってきた。

「じ、じゃ。私は失礼します!」

「ちょ、ゆ、由香里!」

逃げるように、医局から出て行った由香里の背中を見ていると、驚いた声が聞こえてきた。