私の事を?

そんな訳ないじゃん。

ある訳ないよ…。

言い返そうとしたけれど、なんだか歯切れが悪かった。

何が違うのか、何がどう違うのか…。

答えの出ない私に由香里は、素直になりなさいよと言って帰って行った。


「素直かぁ…」

「何?どうしたの?姉さん」

「え、あ、なっ、なんでもないの」

大きな独り言を夏帆に聞かれ、慌ててなんでもないと言い返した。

夏帆は突然の引っ越し、中元先生と関わるなと私からの忠告に、少なからず何かがあったんだと確信していた。
だから、深く聞き返さなかった。

鋭い妹でよかったのか…悪かったのか。


そんなある日の事だった。

私は買物に出ようと街を歩いていた。
いつもの日常だった。



「きゃー!」

交差点の方で叫び声が聞こえ、大きな何かがぶつかる音が聞こえた。そして、叫び声と共に誰かの救急車!警察!と言う声が聞こえてきた。