あれから、幸か不幸か中元先生とはシフトが合わないのか、勤務で会う事はなく、会っても周りに誰かがいるお陰で、この間のような事はなかった。

よかった、と言うべきなのか。
私の心に灯ったこの気持ちがなんななか、分からないままだった。

あの時、中元先生が何を言おうとしたのか、私に想像出来る訳もなく。

「あ、南條さん。こんにちは」

夜勤明け、帰ろうとした私を救急隊の岡田さんから声をかけられた。

「お疲れ様です。今から戻られるんですか?」

「南條さんこそ、お疲れ様です。ありがとうございました。まだもう少し仕事残ってるんで」

「お互い大変ですね。じゃ、失礼します」

失礼しますと言って帰ろうとした私を、岡田さんは呼び止めた。