仮眠室から出て、乱れた髪を直しながら、ナースステーションに戻った。

「どうだった?中元先生」

ドキッ

「…どう、って、な、何が?」

由香里に聞かれる。
どうって、何?なんかバレてる?
抱かれた感触?
先生にキスされたとか??
ないない。ないからー!

多分声は上ずっていたと、思う。

「試されたでしょ?」

「な、な、何を」

「何って、決まってるじゃない」

ベットに引き入れられることが、決まってる事なのか。なんなの、それって言おうとした。

「カルテ見て、今後の話聞かれたでしょ?いつもなのよね、中元先生。試すからなぁ」

へ?試す?
そ、そんな事を?

「ナ、ナースにそんな事聞くの?普通する?」

「いつもやるのよね、それ。私は中元先生より先にいたから、セーフだったんだけど、瑞穂はがっちりやられてね。今回のあんたみたいに、医局に呼ばれて、喜んで行って、泣いて帰ってきてたからね」

「看護師としての、資質を見たい、って事?」

「うん。多分ね。あんたは大丈夫だったとは思うけど、ボロ出してないよね?」

「ないない。ないよっ!」

なんなの。
あの顔面偏差値。
テストされるどころか、おちょくられたんじゃない。
テストするに値してない、って事?
なめられてる、完全に。

私にもう少し、男の人に免疫があったらよかったのに…

中元一哉…
横暴なイケメンなデキる医者って。
終わってんじゃない。


そして、モヤモヤしたまま、私の初夜勤が終わった。