ドキドキしながら、仮眠室をノックしドアを開けた。

「中元先生?」

手前のベットには姿がなく、一番奥で中元先生は寝ていた。
そばまで行って声をかけた。

「先生?中元先生?南條です。カルテ持ってきました」

声をかけながら、体を揺さぶろうとした時、手首を掴まれた。

「なんの…カルテ?」

ドキッ

「あ、あの。今日入院された、山岡さんの病歴照会が返ってきたんです」

「ん、そこ置いといて。もう少し寝かせて…」

「は、はい」

中元先生の枕元近くにある、机にカルテを置こうとして、今度は腕を引っ張られた。

ドサッ

これは、なに?
もしかして、ベットに押し倒されてる、いや私が押し倒している状態?

あ、あの

「何、ビビってんの?」

「え?あ、中元先生。冗談が過ぎますよ?」

中元先生の腕の中で、ジタバタしてみるが、男に勝てる訳もなく、

「誰…か、来たらど、どうするんですか」

「面白くねーな」

中元先生はそう言うと、私の腕を離した。
体の自由になった私は、すぐに起き上がり、慌てて仮眠室を出て行った。


な、なに。
心臓に悪いんですけど。
あんな、顔面偏差値に迫られたらビビるでしょ、普通。
私は人並みだから、無理無理。
無理ー!

30にもなって、動揺してる私。
ひどすぎるんですけど、