【ひめside】
アキラと距離を置くようになってから数ヶ月たったある日。私が帰ろうとするとき、アキラに声をかけられた。
「ひめ!今から帰んのか?前から話したいことがあったんだ。一緒に帰らね?」
そう言われて、私は周りに桃花がいないことを確認して、「いいよ。」と、返事した。
「なあ、お前なんで最近俺のこと避けんの?俺、何かした?」
「別に・・・。避けてなんかないよ・・・。」
怒られる覚悟をして、下を向いてそう言った。
「はあー。」アキラのため息を聞いて、ビクッとした。私は怖くなってしまった。「じゃあさ」と話を切り出されたとき、泣きそうになった。
「何でこんな顔してんだよ」
そう言われた瞬間、顔に温かい手が当たって、顔を覗き込まれた。アキラはきっと、私が泣きそうになったのを気がついていた。そんなことをされたら、期待をしてしまう。そんなの、桃花に悪いと思い、
「なんでもないよっ。」そう告げて、そのまま家へ走って帰った。後ろから、「おいっっ!待てよ!ひめ!」そんな声が聞こえたけれど、気にせず、走り続けた。それがアキラの最後の声になるなんて思わずに。
その次の日。距離を置くようにしてからアキラとも、涼先輩とも、一緒に学校に行かなくした。いつもなら私より早く来ているアキラの姿がなかった。どうしたんだろうと思いながら、席に着いた。朝のSHRで担任の黒木先生が、衝撃の事実を告げた。
「えっとな・・・、言い出しづらいんだが、佐藤が転校することになって、実は昨日が最後だったんだ。」
それを聴いた瞬間視界がぐらりとなった。昨日、アキラが私に話しかけてきた理由がわかった。アキラは私が避けていた理由を転校する前に聞きたかったんだ、そう思うと、とても申し訳ない気持ちになった。私は午前中の授業は、ボーっとして、上の空になっていた。SHRが終わった後に黒木先生に「転校先はどこですか!?」って聞きに言ったけれど、「個人情報は教えられない。」と言われて、私は「そうですか・・・。」としか言いようがなかった。
昼休み、桃花とお昼を食べていた。私は桃花を心配していたけれど、案外大丈夫そうだった。桃花に「何か、アキラのこと知ってたの?」そう聞くと、桃花は目を見開いた。二人の間に、沈黙が流れる。「何か言ってよ。」そう言おうとした瞬間桃花が口を開いた。
「少しだけど、知ってたの・・・。」
「え・・・。」
「私、アキラ君とよく一緒に帰っていたから、『俺、もう少ししかお前と話せねーんだよ。』って言われたの。」
それを聞いたとき、一番気づきたくなかったことに気づいてしまった。アキラは、桃花のことが好きだったんだ。だから・・・、アキラは・・・。あんなに桃花に心を開いてほしかったんだ・・・。なんで・・・。私じゃないの・・・?ずっと一緒にいたのはわたしなのに・・・。桃花が好きなら一言言ってくれたらよかったのに・・・。そんなことを考えていると「ひめちゃん・・・?」と言われハッした。
「それっていつ?」
「一週間ぐらい前かな。今まで黙っててごめんね・・・。」
「何で今まで言わなかったの?」
私が一方的に質問攻めにする。
「だって、アキラ君に、『ひめだけには、言わないでくれ・・・。』って言われたんだもん。」
桃花は目に涙をためて言ってきた。
「なんで桃花が泣きそうになってんのよ・・・。私のほうが・・・。」
そういった瞬間、
「辛くないわけないじゃん!私はアキラくんが好きなんだよ?辛いに決まってるじゃない!!」
桃花がそういった。クラスメイトが私たちのほうを見ている。
「私だって、私だって・・・。アキラのことが好きだもん!!最近アキラと帰らなくなったのも、桃花に悪いと思っていたからだもん!私は、小さいころからずっと一緒にいたし、私のほうが好きに決まってる!」
桃花は、「え・・・。」と小さな声で発した。そのとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。5時間目が始まるチャイムが鳴る寸前、桃花に手を引いていかれた。
【桃花side】
私たちが教室を出た瞬間、国語の先生が入ってきた。「あなたたち、どこへ行くの?」そういわれた時どうしようと思っていたら、昼休みの私たちの様子をずっと見ていた、クラスメイトの佐伯武君が、「あの、先生!二人さっき体調が悪そうだったので、保健室に行くんじゃないですか?」と言ってくれてうまく抜け出せた。私はひめちゃんの手を引いたまま、屋上へ向かった。
「ちょっと!桃花!?どこ行くの!?」
ひめちゃんに何度もそう言われたけれど、かまわずそのまま屋上へ向かった。
屋上について私は、ひめちゃんの手を離した。沈黙が続く。
「桃花?」黙り込む私にひめちゃんから話しかけてくる。私は震えが止まらなかった。まさか、ひめちゃんがアキラくんのことを好きだったなんて・・・。
「ごめんね・・・。」
「ううん。桃花は何も悪くないよ・・・。私のほうこそ一方的にせめてごめんね・・・。」
そういわれて、私はなんだか悲しくなった。わたしのせいで、ひめちゃんとアキラくんの仲を悪くさせてしまったかもしれない・・・。さっきの教室でのひめちゃんの言葉は、本心だったと思う。
「ごめん・・・。私よりもひまちゃんのほうが・・・」
「あー、それ以上言わないで!」
その言葉にビクッとした「え・・・?」と聞き返すと、
「それ以上言われたら、桃花に申し訳なくなっちゃうから・・・。私のほうこそ、ごめんね。好きになった気持ちとか、時間とか恋には関係ないのにね・・・。」
そう、ひめちゃんが申し訳なさそうに言ってきた。
「これで仲直り!だね!」
「うん!!」
そのとき、5時間目の終わりのチャイムが鳴った。
「なーんか、授業出るの疲れちゃった。」
仲直りした私たちは、そんな他愛のない会話をしていた。そのとき、屋上のドアを開ける音がした。音のほうを見ると、さっき私たちをかばってくれた、佐伯君だった。
「よっ!仲直りしたのか?」
「うん!おかげさまで!さっきはかばってくれてありがとー。」
「別に・・・。なんか知らねーけど、あんなの見たら、かばうに決まってるし。」
ひめちゃんが、佐伯君のことを褒めたら、佐伯君は頬を赤くしていた。
「まあ、仲直りできて何よりだよ。」
佐伯君は、爽やかな笑顔を私たちに向けた。
「本当にありがとね、佐伯君」
「ああ、『武』でいいよ。俺も『ひめ』『桃花』って呼ぶし。あんまり、名字で呼ばれるの、好きじゃないんだ。」
「うん。分かった。」私とひめちゃん、同時に返事をした。すると、
「フッ、お前ら本当に仲いいな。さっき喧嘩してたなんておもえないわ。お前らって、中学校からの付き合い?」
「そうだよ。」私が答えると、「そうには見えない。」って言われた。
「武、授業行かないの?」
「いや、ひめが言うなよ。お前もだし、桃花もだろ。」
「フフッ、確かにね。」
結局三人とも6時間目の授業をサボった。
私たちが教室に戻ると先生の説教をたんまり受けた。
男の子と話すのって楽しいなあ・・・。そう教えてくれたのはキミだったね。アキラくん・・・、キミは今、どこで、何をしてるの・・・?
【ひめside】
屋上から帰ってきた3人は、終わりのSHRが終わった後先生に呼び出されて、結局反省文を書くことになった。私と桃花は、5時間目も6時間目もサボッたってことで、反省文5枚ということになり、武は、私たちの心配をして6時間目をサボったということで、反省文1枚ということになった。
「めんど・・・。ダル過ぎ・・・。」そういう武に私は笑ってしまった。
「は!?お前なんで笑ってんだよ。」
「いや、だって武って反省文かかなそうだから。」
「確かに。武君かかなそう。」
「俺、はじめてかくかも・・・。桃花もかかなそうだな。」
「あ・・・、わたしもはじめてだ!」
「フッ。じゃあ、ひめだけだな、かいたことあんの。」
「失礼な!」と反論する私に、「書いたことあんだろ?」と言われて「うん。」としか言いようがなかった。「ほらみろ。」
「はあー。桃花帰るか。」
武がそう言った。
「え?武君、私と同じ方向なの??」
「えっ!ま・まあ・・・。」
武がハッとした顔で言った。桃花の顔は、「何で知ってるの?」って顔をしている。それに気がついた武が、
「あれだよ、その・・・、ア・・・アキラがいるとき、よく三人で校門まで行ってたの、教室から見えてたんだよ。校門から出たら、桃花だけ違う方向に帰ってたから・・・知ってんだよ。」
そう言う武の頬は、少し赤くなっていた。私は、そんなところまで見てくれてたんだと、少し嬉しくなった。
「へー。私たちのこと見てたんだね。」
私がそう言うと、桃花が「私もそう思ったんだー。」って共感してくれた。
「まあな。」少し照れくさそうに話す武と、それをニヤニヤする桃花と三人で、校門へ向かい、私は二人と別れた。
家へ向かいながら、武の顔を思い出す。「なんであんなに、赤くなってたんだろう・・・。」そんなモヤモヤした気持ちが、頭を駆け巡る。そんなことを考えていると、自宅へ着いた。自宅へ着くと、真っ先に自分の部屋へ向かった。「ただいま。」と言っても、誰も答えてくれない。私の両親は、共働きをしていて、私が帰ってくるときは、まだ帰ってきていない。それにわたしには兄弟もいない・・・今は・・・。だから、帰ってもいつも一人。いつもなら帰ったらまず宿題をするんだけど、今日はいろいろあったから、やる気がおきない。私は鞄を置くために自分の部屋へと向かった。鞄を置いたら、ドッと疲れが襲ってきた。「はー。」と、大きなため息をつきながら私は今日一日あった出来事を振り返った。まさか、アキラが転校するなんて・・・。夢にも思っていなかった。こんなことになるなら、昨日しっかりと話しておくべきだったと後悔した。先生に聞いても転校先は教えてもらえないし、突然ことだったから、もちろんのこと私は何も知らなかった。「もー、アキラのバカ。何で何も言ってくれなかったのよ・・・。」そんなことを考えていると、なぜか涙が出てきた。(寂しい・・・悲しい)そんな気持ちが私の頭の中をぐるぐると回っている。
あれからどのくらいの時間がたったのかな。時計を見ると22時を回っていた。どうやら私は寝てしまっていたようだ。ムクりとベットから起き上がり、何かを食べようと、キッチンへと向かった。(!電気がついてる。お母さんかな?)そう思って、キッチンの扉を開けた。「おお、帰ったのか。」その声を聞いて、私はガッカリした。その声はお父さんだった。「うん。夕方くらいに。」そう返事すると、「そうか、もちろん勉強していたんだろうな?」「ううん・・・。ちょっと疲れちゃってて・・・。今までベットで横になってたの。」そう言うと、「なんだと!?寝ていた?ふざけた冗談はやめてくれ!!」と、おもいっきり怒鳴られた。そう、今のお父さんは二番目のお父さん。前のお父さんは、私の実のお兄ちゃんが病気になってしまって、亡くなったときにショックで自ら命を絶ってしまった。私のお兄ちゃんは、とても優秀だった。それを、今のお父さんは知っている。なぜなら、今のお父さんが、お兄ちゃんの中学生のときの先生だから。だから、「お兄ちゃんのようになれ!!」と、いつも言ってくる。私が一日でも勉強しない日がないのは、「お兄ちゃん」のようになるため、お父さんに怒られないようにするため。
「今から勉強して来い!!」そうお父さんに言われて、「はい。」と返事をして再び部屋に戻った。
アキラと距離を置くようになってから数ヶ月たったある日。私が帰ろうとするとき、アキラに声をかけられた。
「ひめ!今から帰んのか?前から話したいことがあったんだ。一緒に帰らね?」
そう言われて、私は周りに桃花がいないことを確認して、「いいよ。」と、返事した。
「なあ、お前なんで最近俺のこと避けんの?俺、何かした?」
「別に・・・。避けてなんかないよ・・・。」
怒られる覚悟をして、下を向いてそう言った。
「はあー。」アキラのため息を聞いて、ビクッとした。私は怖くなってしまった。「じゃあさ」と話を切り出されたとき、泣きそうになった。
「何でこんな顔してんだよ」
そう言われた瞬間、顔に温かい手が当たって、顔を覗き込まれた。アキラはきっと、私が泣きそうになったのを気がついていた。そんなことをされたら、期待をしてしまう。そんなの、桃花に悪いと思い、
「なんでもないよっ。」そう告げて、そのまま家へ走って帰った。後ろから、「おいっっ!待てよ!ひめ!」そんな声が聞こえたけれど、気にせず、走り続けた。それがアキラの最後の声になるなんて思わずに。
その次の日。距離を置くようにしてからアキラとも、涼先輩とも、一緒に学校に行かなくした。いつもなら私より早く来ているアキラの姿がなかった。どうしたんだろうと思いながら、席に着いた。朝のSHRで担任の黒木先生が、衝撃の事実を告げた。
「えっとな・・・、言い出しづらいんだが、佐藤が転校することになって、実は昨日が最後だったんだ。」
それを聴いた瞬間視界がぐらりとなった。昨日、アキラが私に話しかけてきた理由がわかった。アキラは私が避けていた理由を転校する前に聞きたかったんだ、そう思うと、とても申し訳ない気持ちになった。私は午前中の授業は、ボーっとして、上の空になっていた。SHRが終わった後に黒木先生に「転校先はどこですか!?」って聞きに言ったけれど、「個人情報は教えられない。」と言われて、私は「そうですか・・・。」としか言いようがなかった。
昼休み、桃花とお昼を食べていた。私は桃花を心配していたけれど、案外大丈夫そうだった。桃花に「何か、アキラのこと知ってたの?」そう聞くと、桃花は目を見開いた。二人の間に、沈黙が流れる。「何か言ってよ。」そう言おうとした瞬間桃花が口を開いた。
「少しだけど、知ってたの・・・。」
「え・・・。」
「私、アキラ君とよく一緒に帰っていたから、『俺、もう少ししかお前と話せねーんだよ。』って言われたの。」
それを聞いたとき、一番気づきたくなかったことに気づいてしまった。アキラは、桃花のことが好きだったんだ。だから・・・、アキラは・・・。あんなに桃花に心を開いてほしかったんだ・・・。なんで・・・。私じゃないの・・・?ずっと一緒にいたのはわたしなのに・・・。桃花が好きなら一言言ってくれたらよかったのに・・・。そんなことを考えていると「ひめちゃん・・・?」と言われハッした。
「それっていつ?」
「一週間ぐらい前かな。今まで黙っててごめんね・・・。」
「何で今まで言わなかったの?」
私が一方的に質問攻めにする。
「だって、アキラ君に、『ひめだけには、言わないでくれ・・・。』って言われたんだもん。」
桃花は目に涙をためて言ってきた。
「なんで桃花が泣きそうになってんのよ・・・。私のほうが・・・。」
そういった瞬間、
「辛くないわけないじゃん!私はアキラくんが好きなんだよ?辛いに決まってるじゃない!!」
桃花がそういった。クラスメイトが私たちのほうを見ている。
「私だって、私だって・・・。アキラのことが好きだもん!!最近アキラと帰らなくなったのも、桃花に悪いと思っていたからだもん!私は、小さいころからずっと一緒にいたし、私のほうが好きに決まってる!」
桃花は、「え・・・。」と小さな声で発した。そのとき、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。5時間目が始まるチャイムが鳴る寸前、桃花に手を引いていかれた。
【桃花side】
私たちが教室を出た瞬間、国語の先生が入ってきた。「あなたたち、どこへ行くの?」そういわれた時どうしようと思っていたら、昼休みの私たちの様子をずっと見ていた、クラスメイトの佐伯武君が、「あの、先生!二人さっき体調が悪そうだったので、保健室に行くんじゃないですか?」と言ってくれてうまく抜け出せた。私はひめちゃんの手を引いたまま、屋上へ向かった。
「ちょっと!桃花!?どこ行くの!?」
ひめちゃんに何度もそう言われたけれど、かまわずそのまま屋上へ向かった。
屋上について私は、ひめちゃんの手を離した。沈黙が続く。
「桃花?」黙り込む私にひめちゃんから話しかけてくる。私は震えが止まらなかった。まさか、ひめちゃんがアキラくんのことを好きだったなんて・・・。
「ごめんね・・・。」
「ううん。桃花は何も悪くないよ・・・。私のほうこそ一方的にせめてごめんね・・・。」
そういわれて、私はなんだか悲しくなった。わたしのせいで、ひめちゃんとアキラくんの仲を悪くさせてしまったかもしれない・・・。さっきの教室でのひめちゃんの言葉は、本心だったと思う。
「ごめん・・・。私よりもひまちゃんのほうが・・・」
「あー、それ以上言わないで!」
その言葉にビクッとした「え・・・?」と聞き返すと、
「それ以上言われたら、桃花に申し訳なくなっちゃうから・・・。私のほうこそ、ごめんね。好きになった気持ちとか、時間とか恋には関係ないのにね・・・。」
そう、ひめちゃんが申し訳なさそうに言ってきた。
「これで仲直り!だね!」
「うん!!」
そのとき、5時間目の終わりのチャイムが鳴った。
「なーんか、授業出るの疲れちゃった。」
仲直りした私たちは、そんな他愛のない会話をしていた。そのとき、屋上のドアを開ける音がした。音のほうを見ると、さっき私たちをかばってくれた、佐伯君だった。
「よっ!仲直りしたのか?」
「うん!おかげさまで!さっきはかばってくれてありがとー。」
「別に・・・。なんか知らねーけど、あんなの見たら、かばうに決まってるし。」
ひめちゃんが、佐伯君のことを褒めたら、佐伯君は頬を赤くしていた。
「まあ、仲直りできて何よりだよ。」
佐伯君は、爽やかな笑顔を私たちに向けた。
「本当にありがとね、佐伯君」
「ああ、『武』でいいよ。俺も『ひめ』『桃花』って呼ぶし。あんまり、名字で呼ばれるの、好きじゃないんだ。」
「うん。分かった。」私とひめちゃん、同時に返事をした。すると、
「フッ、お前ら本当に仲いいな。さっき喧嘩してたなんておもえないわ。お前らって、中学校からの付き合い?」
「そうだよ。」私が答えると、「そうには見えない。」って言われた。
「武、授業行かないの?」
「いや、ひめが言うなよ。お前もだし、桃花もだろ。」
「フフッ、確かにね。」
結局三人とも6時間目の授業をサボった。
私たちが教室に戻ると先生の説教をたんまり受けた。
男の子と話すのって楽しいなあ・・・。そう教えてくれたのはキミだったね。アキラくん・・・、キミは今、どこで、何をしてるの・・・?
【ひめside】
屋上から帰ってきた3人は、終わりのSHRが終わった後先生に呼び出されて、結局反省文を書くことになった。私と桃花は、5時間目も6時間目もサボッたってことで、反省文5枚ということになり、武は、私たちの心配をして6時間目をサボったということで、反省文1枚ということになった。
「めんど・・・。ダル過ぎ・・・。」そういう武に私は笑ってしまった。
「は!?お前なんで笑ってんだよ。」
「いや、だって武って反省文かかなそうだから。」
「確かに。武君かかなそう。」
「俺、はじめてかくかも・・・。桃花もかかなそうだな。」
「あ・・・、わたしもはじめてだ!」
「フッ。じゃあ、ひめだけだな、かいたことあんの。」
「失礼な!」と反論する私に、「書いたことあんだろ?」と言われて「うん。」としか言いようがなかった。「ほらみろ。」
「はあー。桃花帰るか。」
武がそう言った。
「え?武君、私と同じ方向なの??」
「えっ!ま・まあ・・・。」
武がハッとした顔で言った。桃花の顔は、「何で知ってるの?」って顔をしている。それに気がついた武が、
「あれだよ、その・・・、ア・・・アキラがいるとき、よく三人で校門まで行ってたの、教室から見えてたんだよ。校門から出たら、桃花だけ違う方向に帰ってたから・・・知ってんだよ。」
そう言う武の頬は、少し赤くなっていた。私は、そんなところまで見てくれてたんだと、少し嬉しくなった。
「へー。私たちのこと見てたんだね。」
私がそう言うと、桃花が「私もそう思ったんだー。」って共感してくれた。
「まあな。」少し照れくさそうに話す武と、それをニヤニヤする桃花と三人で、校門へ向かい、私は二人と別れた。
家へ向かいながら、武の顔を思い出す。「なんであんなに、赤くなってたんだろう・・・。」そんなモヤモヤした気持ちが、頭を駆け巡る。そんなことを考えていると、自宅へ着いた。自宅へ着くと、真っ先に自分の部屋へ向かった。「ただいま。」と言っても、誰も答えてくれない。私の両親は、共働きをしていて、私が帰ってくるときは、まだ帰ってきていない。それにわたしには兄弟もいない・・・今は・・・。だから、帰ってもいつも一人。いつもなら帰ったらまず宿題をするんだけど、今日はいろいろあったから、やる気がおきない。私は鞄を置くために自分の部屋へと向かった。鞄を置いたら、ドッと疲れが襲ってきた。「はー。」と、大きなため息をつきながら私は今日一日あった出来事を振り返った。まさか、アキラが転校するなんて・・・。夢にも思っていなかった。こんなことになるなら、昨日しっかりと話しておくべきだったと後悔した。先生に聞いても転校先は教えてもらえないし、突然ことだったから、もちろんのこと私は何も知らなかった。「もー、アキラのバカ。何で何も言ってくれなかったのよ・・・。」そんなことを考えていると、なぜか涙が出てきた。(寂しい・・・悲しい)そんな気持ちが私の頭の中をぐるぐると回っている。
あれからどのくらいの時間がたったのかな。時計を見ると22時を回っていた。どうやら私は寝てしまっていたようだ。ムクりとベットから起き上がり、何かを食べようと、キッチンへと向かった。(!電気がついてる。お母さんかな?)そう思って、キッチンの扉を開けた。「おお、帰ったのか。」その声を聞いて、私はガッカリした。その声はお父さんだった。「うん。夕方くらいに。」そう返事すると、「そうか、もちろん勉強していたんだろうな?」「ううん・・・。ちょっと疲れちゃってて・・・。今までベットで横になってたの。」そう言うと、「なんだと!?寝ていた?ふざけた冗談はやめてくれ!!」と、おもいっきり怒鳴られた。そう、今のお父さんは二番目のお父さん。前のお父さんは、私の実のお兄ちゃんが病気になってしまって、亡くなったときにショックで自ら命を絶ってしまった。私のお兄ちゃんは、とても優秀だった。それを、今のお父さんは知っている。なぜなら、今のお父さんが、お兄ちゃんの中学生のときの先生だから。だから、「お兄ちゃんのようになれ!!」と、いつも言ってくる。私が一日でも勉強しない日がないのは、「お兄ちゃん」のようになるため、お父さんに怒られないようにするため。
「今から勉強して来い!!」そうお父さんに言われて、「はい。」と返事をして再び部屋に戻った。
