焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲

「私もここがいいと思っていたの。織田くんとまったく同じことを考えていたから、びっくりしちゃって……」

そこまで言ってやっと我に返る。今、織田くんの腕を掴んでいたことに。

「ご、ごめんなさい!」

「いや、大丈夫」

急いで離したものの、お互い恥ずかしくなり顔を見られなくなる。

「とりあえず入ろうか?」

「あ、うん!」

織田くんの後に続いて店内に入ると、混雑していたものの席は空いていてテーブル席に通された。

そしてお互い好きなものを注文し終えると、織田くんは周囲を見回した。

「これくらい騒がしい方が落ち着くな」

「……うん、そうかも」

こうやっていざ向き合って座ると、なにを話したらいいのかわからなくなるから。

おしぼりで手を拭いたり、お水を飲んだりしていると、織田くんがポツリと呟いた。

「なんか照れるな。こうして向き合って座ると」

また私が感じていたことと同じことを言う織田くんに驚く。

だけどあまりにシンクロし過ぎて、なんか可笑しくなり笑ってしまった。