焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲

ここは素直にホラー映画を指差そうと決め、彼の「せーの」の声に合わせて指差した。

「え、なに? 滝本もそれ見たいの?」

「織田くんも?」

お互いを見てしまう。だって織田くんが指差したのは、私と同じホラー映画だったから。

「意外、滝本がホラー映画好きだったなんて」

「そうかな? だってほら、大きなスクリーンで見た方が迫力あるでしょ? それにハラハラするの好きなんだ。それに織田くんだって意外だよ。ホラー映画好きだなんて」

「俺もハラハラするの好きでさ。あの音と映像によって生み出される緊張感がたまらないよな?」

「わかる!」

熱く答弁した後、周囲から視線を感じてお互い慌てて口を結んだ。そしてまた笑い合う。

映画は文句なしに面白くて、見終わった後は感想を言い合って盛り上がった。

ちょうどお昼時になり、なにを食べようかと悩みながら街中を歩いていると、平日ということもあって会社員でどこもいっぱい。

「どうしようか、あと少し待てば空くと思うけど……お腹空いたよな?」

「うん、そうだよね……」