焦れ恋ロマンス~エリートな彼の一途な独占欲

「まずは映画でも見ようかなと思っていたんだけど……どうかな?」

「映画、いいね! 最近見ていないから見たい」

最近は映画館で見ることはなくなり、専らDVDばかりだった。久しぶりに大きなスクリーンで見たい。

すると織田くんはホッとした顔を見せた。

「よかった、じゃあ急ごう。けっこう今の時間からはじまる映画多いんだ」

「……うん!」

自然とお互いの足が進むスピードは速まっていった。

そして映画館に着くと、ふたりで上映作品を見て悩む。

「滝本、なに見たい?」

「そういう織田くんは?」

正直、私が見たいのはホラー映画なんだけど、同じ時間帯にアクションものとミステリー作品がある。

織田くんはそっちが見たいかもしれない。そう思うと、なかなか自分が見たいものを言い出せなくなる。

すると彼はある提案をしてきた。

「じゃあお互い見たいものを指差そう。俺のことを気遣うなよ? 滝本が本当に見たいものだからな?」

「……わかった」

どうやら織田くんには私の考えていたことがお見通しだったようだ。