「それにみどりは勘違いしているから。……私と織田くんは、友達からはじめようって約束だし」

そうだよ、告白タイムの時に彼はそう言ってくれた。
なのにみどりはげんなり顔を見せた。

「アホ杏。それは建前でしょ? 織田さんは明らかに杏に好意を抱いているから告白したに決まっているから」

「そう……なのかな?」

ダイレクトに言われると恥ずかしくなり、俯くとみどりは大きなため息を漏らす。

「当たり前でしょ? ……私は本当にいいと思うよ? 相手は知りもしない人ではないでしょ? 高校時代の友人で、高城さんに聞いたら、職場で誰も悪く言う人はいないっていうし」

一呼吸置き、彼女は優しい声色で言った。

「前向きに恋愛してみたらどうかな? きっと帰ってきたら連絡くれるだろうし、デートと考えずに遊びに行く感覚で会ってきたら?」

「……うん」

背中を押してくれたみどりにつられ、笑みが零れる。

そうだよね、会わないことにはなにもはじまらないもの。みどりの言う通り、今度織田くんが帰ってきて会う機会があったら、会いたいな。


その後は打って変わり、みどりのノロケ話を聞かされ続け、そのまま近くの飲食店へ夕食まで共にした。