「えへへ。例の彼とうまくいっていてさー。彼から仕事のことや織田さんのことを色々聞いたの」

「そうだったんだ」

でもいい感じだったものね。みどりと彼。

「あれ? でもみどりの彼は仕事大丈夫なの?」

同じ海上自衛官だったよね?

不思議に思い尋ねると、みどりはデレデレ顔になる。

「彼……高城(たかしろ)さんは広報官で陸地にいることが多いんだ。だからごめんね、私ばかりいっぱい会って愛を深めちゃって」

「そ、それはよかった」

ここまでデレているみどりを見たのは、いつぶりだろうか……? いや、もしかしたら見たことがないかもしれない。

まじまじと眺めていると、みどりはハッとして表情を引き締めると、わざとらしく咳払いをした。

「とにかく杏、織田さんの告白を受けたってことはあんたも彼となら恋愛していいと思ったからでしょ? だったらしっかり愛を育まないと」

「いや……そうだけど」

その肝心の織田くんはいまだ海の上で会うことができない。

婚活パーティーの日にもらった花束は、もう枯れてしまっているほどに、長い時間会えていない。